炎のランナー(Chariots of Fire:1981年:英) [Movie(映画・DVD)]
スポーツをテーマにした映画のアップが続いていることもあり、オリンピックを舞台とした映画を探してみたが、どうも沢山思いつかない。そこで、調べてみたところ記録映画以外はそれほど作られていないようだ。そんな中、静かな感動を与えてくれる作品がこの「炎のランナー」だ。
公開当時、盛んにアカデミー賞受賞作品であることがCMで流されていたことが印象的な作品で、イギリス公開が1981年、第54回アカデミー賞作品賞を受賞したのが翌82年3月。日本公開は同82年8月なので、盛んに「これは受賞作品ですよ」とPRしていたのだろう。公開当時はめったに映画館に行くことのかなわない高校生。レンタルビデオ屋もない時代に始めて観たのが地上波放送だった。
それまで比較的派手な演出のハリウッド作品ばかり観て喜んでいたのだが、洋画でこれ程渋いものに感動したのは始めてだ。また、ヴァンゲリスのBGMも大変印象に残るもので、今でも折に触れ耳にすることがあり、ご存知の方も多いだろう。
舞台は1924年パリオリンピックの陸上男子。イギリス代表選手エリックとハロルドを中心に選手たちの友情と活躍を描く。
スコットランドで宣教師を志すエリックは走って勝利することを神への信仰と同義と考え、ストイックに練習と競技に挑むエディンバラ大学のラグビー選手でもあり、陸上選手だ。一方ライバルのハロルドはケンブリッジ大学で活躍するユダヤ系の移民であり、常に周囲の少なからぬ偏見と対峙していた。
二人のプロコーチムサビーニは非英国系であることから、イギリスの伝統を重んじる排他主義者たちから蔑視され、純粋に祖国と信仰のために競技に挑む彼らへの静かな圧力となる。
程なくパリオリンピックに臨む二人だが、エリックの出場予定である100Mは安息日にあたり信仰の篤いエリックは急きょ400Mへとエントリーを変えることに。また200Mでアメリカ選手に敗れたハロルドはライバルエリックを欠く100Mに臨む。
何のためにアスリートたちはオリンピックを目指し、メダル獲得に挑むのか。その果てにあるものは。
メダルの色と数ばかりに気を取られがちだが、純粋に世界トップレベルの選手たちの競技を見る目を養いたいものである。
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