河童のクゥと夏休み

夏休み＝子供向けという安易な想像を見事に打ち砕かれた秀作だ。とにかく随所に笑いと涙を誘うシーンが満載で、最後まで楽しめる作品である。
現代社会のごくありふれた家庭にいきなり「河童」が入り込む設定だが、なんとなくこの「奇妙な生き物」を受け入れてしまう家族がまず笑える。そして、この「河童」をめぐり騒動が起こるわけだが、その取り上げ方が、またいかにも今の世情をうまーく反映させている。例えば、ワイドショーのカメラが追い掛け回したり、「河童」が現れると携帯で写真を撮ったりなど、世相を痛烈に皮肉っているように思え、思わず「ウンウン。そうだねぇ。」とうなずいてしまう。
周囲の喧騒に対抗する主人公たちを応援している自分がいる反面、自分が観衆であったならと立場を変えると、果たして、同じ心情でいられるかというと自信がないのが情けないが。。
最近特に思うのだが、本当に恐ろしいものは魑魅魍魎（ちみもうりょう）の類ではなく、人間そのものであることを実感する。
原恵一監督は今後アニメーション映画で、ジブリ作品を超えると言われているほど評価の高い方であるが、なるほど、納得の一作であった。
お子さんと一緒にいったお父さん、お母さん世代が実はいちばん楽しめる作品かもしれない、この夏お勧めの作品である。

 

河童のクゥと夏休み 【通常版】 [DVD]

• 出版社/メーカー: アニプレックス
• メディア: DVD

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