エクソシスト（The Exorcist：1973年：米）

ホラー系の映画は好みではないので、ほとんど観ていないつもりだったが、意外や意外、自分でも不思議なくらい観ていることに気付いた。好みではない最大の理由は、たいてい観終わったときいい気分になれないことである。少なくとも劇場に足を運んでみようという気にはなれず、いずれもテレビやDVDで観たものばかりだ。

1973年制作の本作品は、公開時に観たわけではないが、予告など観るにつけ当時恐怖におののいていた気がする。

結局、本作品を全編観たのはつい最近のことだ。むしろ、映画音楽集などのCDに収録されているテーマ曲の美しくも、恐ろしい旋律の方に長く親しんできた。

さて、全編観るまでの予備知識としては、悪魔に取り付かれた子どもの顔が180度回転したり、スライムのようなものを吐き出したり、ポルターガイストで部屋がめちゃめちゃになったり、神父（神父はカトリックで、牧師はプロテスタント）が悪魔と闘ったりというように、大筋は知っていたので、ストーリー自体それほど強烈な印象はない。

やはり公開からずいぶん経って、長年語り継がれてきたことがあるからだろう。

エクソシストとは悪魔払いの祈祷師（カトリック教のエクソシスム）に由来するタイトルということで、タイトル通り悪魔払いの一一部始終を描いているものだ。

本作品の出来の良いところは、ホラー系でありながら、ありがちな暗闇からいきなり気持ち悪いモノがドーンと出てきて、観る者の心臓をバクバクさせるという類のものではないところと、なんだか分からないうちに得体の知れないモノにどこかに引きづり込まれるという理不尽な展開のないことろである。

全編通して無駄に明るすぎず、暗すぎずで、ドッキリ、びっくりしたい人にはモノ足りないであろうが、私にはちょうどいい。

更に、医学の側面からのアプローチがある点も、信憑性を高めていて評価できる。

悪魔と神もしくは神父との闘い、悪魔と人間、または悪魔をテーマにした作品は多く、「エンド・オブ・デイズ（主演：アーノルド・シュワルツネッガー）」「オーメン」「コンスタンティン（主演：キアヌ・リーブス）」「エンゼルハート（主演：ミッキー・ローク）」などホラー×ミステリー、ホラー×アクション、実に多様な描かれ方をされており、アメリカ人の悪魔に対する考え方などが見られ面白い。

いずれ、それぞれに関して言及しようと思うが、独特の宗教観の表れともいえるこれらの作品群、少々肝を冷やすにはこれからの時期よいのかもしれない。ちなみに、じめっとして、まとわりつくような邦画ホラー（リング・呪怨など）は心底いただけないのだが、これはビビリだからだろうか？？

個人的には、悪魔や怨霊などよりは、人間そのものの方が恐ろいと思うの（サイコ系は一層キツイ）だが、いかがなものだろうか。

 

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