七人のおたく cult seven (しちにんのおたく カルトセブン:1992年:日) [Movie(映画・DVD)]
映画は時代を映し出し、記録する。その中で「人間」を描く。私たちは人間の持つ普遍性をそれぞれの時代設定や登場人物を取り巻く環境の中から読み解く。
「おたく」を取り扱った90年代前半の邦画。ウッチャンナンチャンがまだまだ若かりし頃の作品である。
「おたく」が「オタク」ではなく平仮名表記なところが時代を感じさせ、登場するおたくたちも、ミリタリーおたく・星亨(南原清隆)、格闘技おたく・近藤みのる(内村光良)、パソコンおたく・田川孝(江口洋介)、無線おたく・水上令子(浅野麻衣子)、アイドル&改造車おたく・国城春夫(武田真治) と今の「オタク」像とは、若干設定が異なる。
ストーリーはこの七人が、それぞれの得意分野を活かし、事件を解決するというシンプルなコメディであるが、当時の「おたく」像を知る上で大変面白い出来となっている。
そもそも「おたく」の定義は曖昧で「マニア」や「専門家」との境界がはっきりしないが、「おたく」は今も昔も「社交性に欠ける」という点が共通しているようだ。
良く言えば一匹狼、悪く言えば孤独ということのようだが、「わが道を行く」という点、「生業」としない(もしくは生業を超越する)点、そして、関心の無い人間からは、「理解しがたい」領域に没頭する点が、「おたく」の「おたく」たる所以のようだ。
ここでは、「おたく」論を展開するつもりもないし、非難するものでもない。本作では、そうった一種排他的な世界観をもった者が七人集まったら、そして一つの目標をもったら・・・という設定で成り立っている。そういった点では、「電車男」に近いものがあるかもしれない。
ネットも携帯も無い90年代初頭の「おたく」たちの活躍を、再び観てみたくなった。
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