ゴジラ考 [Movie(映画・DVD)]
『シン・ゴジラ』。日本では12年ぶりに映画化されたゴジラということに加え、エヴァンゲリオンで一世を風靡した庵野監督作品ということで注目され、7月末に公開。様々な反響を呼んでいるようである。
そんなこともあってか、地上波地放送でも邦画、洋画共に『ゴジラ』シリーズが各局で放送。何とはなしに録画して観てしまった。(写真は食玩フィギアが発掘されたので撮影してみたもの。)
『ゴジラv.sデストロイア』(日:1995年)
どの作品も賛否両論あって、ゴジラというキャラクターを使って都市をぶっ壊すのだが、最も退屈なのが、その間に繰り広げられる「人間ドラマ」というもの。しかも、邦画の節目的な作品ほど著名俳優紛する登場人物がやたらと多く、各シーン毎にわざわざカット割りされているので、映像がとっ散らかるのだ。
とっ散らかりの代表作が1984年公開の『ゴジラ』か。
いわゆる他の怪獣とプロレスをして、結果的に人類を助けちゃったというVSシリーズではない、原点回帰の絶対的恐怖存在のゴジラパターンなのだが、その恐怖がまるで伝わってこない。
久々のゴジラ単独もの。顔の筋肉稼働や、胸板の筋肉稼働など当時のロボット技術を駆使して新生ゴジラが満を持して登場、『東宝シンデレラ』グランプリ受賞で期待の大型新人沢口靖子が出演などと、随分話題になり期待して観たのだが・・・。
まったく見るに堪えない閣僚会議や、国際会議。この辺は『連合艦隊』などの戦争映画の手法が影響しすぎており、こんな時でも皆さん姿勢よくお座りって、ため息が出るところだ。いっそ全てカットして、現場に総理の判断が届くといった方が、テンポもよかろう。核の持込を認めるか否かなど、政治家の葛藤を表層的に描くのは本筋ではないからだ。本筋でないところに中途半端に時間を割くので、内容が薄っぺらく飽きるのである。
その他のヒューマンドラマはすべからく薄く、無駄が多く、これ真面目に作っているのか?との疑惑すら湧いてきてしまう。
有楽町マリオン脇でゴジラが新幹線掴んで放り投げるシーンなんて、ゴジラに掴まれた新幹線の中に神父に扮した乗客役の「かまやつひろし」がにやけてカメラ目線だ。これから死ぬって時に馬鹿か!神父なら祈れよ!人なら絶望で恐怖しろよ!監督OK出すなよ!と叫びたくなる程、全く興ざめである。
特撮チームが当時の技術で目いっぱい頑張っているのに、どうでもいい配役が、どうでもいいところで作品に泥を塗っているのである。 武田鉄矢が扮する上京した田舎者が、方言丸出しにしてゴジラに絡むシーンなど全く意味を見いだせない。
大体にして俳優は一人でも一本の映画が成立するほど存在感があるものなのに、それが何十人も出てくると正直煩くて仕方がないのである。その散らかり感たるや、番組改変時のバラエティー特番の雛壇の如き。
『キャンノンボール』(米:1981年~)シリーズくらいおバカな映画ならともかく、『ゴジラ』ではやめて欲しいものである。
この夏公開の『シン・ゴジラ』キャスティング俳優?が、328名だとか(ほとんど知らない名前だが)。監督にどう料理されているのか見物である。320人くらいは、単独カットもセリフもなく、ただゴジラに粉砕されるのかな?
予告編の自衛隊とのドンパチも臨場感あるカメラワークと映像だったので、奇才庵野ゴジラに期待しましょう。
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